牧師の独り言 Vol.15

約一年前のアメリカでの話。独立記念日に合わせて行われた花火大会の会場で突っ込んできた車にはねられて死亡した若者がいた。彼は20代前半の神学生。医者になることも考えていた彼ではあったが、神様からの召しに応えて伝道の道を選んだ。確かに彼はまだ若かった。しかし神様に仕え、人に仕えるその姿勢は多くの人々を励まし助けてきた。これから神様は彼をどのようにお使いになるだろうかと、周囲の人々は神様の成さるみわざに大きな期待をもっていたはず。しかし、彼は「あまりにも早く」天の御国へ凱旋していった。「神様なぜですか」という単純な疑問が、彼を知る教会関係者の脳裏を駆け巡ったことは想像に難くない。しかし神様は、常に、本当に常に最善の計画をもって最善の事を行ってくださることを証明してくださった。彼の召天をきっかけとして、何十人という人が救いを経験した。その他神様の前になんらかの決断をしたと聞いている。一人の、神様に仕える者の死を通して、多くの人の心を神様は揺さぶられた。その中に、まもなく定年を迎える日本人のビジネスマンがいた。「今私に従うように」との神様からのチャレンジに応答し、宣教師として日本に戻り主のための働きを開始しようとされている。確かに「一つの麦」が死んだことによって、多くの実が収穫され、これからも収穫されようとしている。神様の成さることの偉大さを覚え、賛美をささげずにはいられない。私たちは、「なぜ」に対する答えを欲しがる。(ヨブもそうだった)しかし、神は「わたしを信頼しなさい」と仰る。起こったことに対する理由がわからなくても、すべてを知っておられ、すべてを支配され、すべてを良きに導かれるお方を信じる、これが信仰者の基本。素晴らしいことは、このような神様にお仕えすることができるということ。私たちにとって大事なことは、何年生きたか、ではない。神様が評価してくださることをどれだけ行い、どれだけ天に宝を蓄えたか、ということ。それが豊かなものであれば、「あなたは走るべき道のりを走り終えた、忠実なしもべだ」とのおことばをいただけるのだろう。召されていった彼の話を通して、彼より倍以上も生きている自分は多くのことを問いかけられている。

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