10月30日 真実を知らないカオス

エルサレムに到着したパウロは、自身についての誤解を解くために適当と思われることを実行しましたが、パウロに対する激しい反対は避けられない事態となりました。(前回のパウロへの疑いを持っている人々が今回の反対の当事者であるとは言えませんが)アジヤからやってきたユダヤ人たちは、パウロについて根拠のない訴えをし、人々を扇動し、騒ぎを起こしました。パウロは力ずくで神殿から引きずり出されて命の危険にさらされ、ローマ軍が動くことにまで発展しました。まともな証言がなく収拾がつかない中、ローマの千人隊長はパウロを兵営に連れていくよう命じました。
混乱・混沌・無秩序を意味するカオス(chaos)ということばがあります。今回パウロに反対した人々の状態はまさにカオスです。それは確かなことを認識していない中で考え、語り、行動するという混乱状態です。彼らの言動は、まことの神様を知らず、真実を知らない人の姿を映し出しています。今回は真実を知らず、コントロールされていない人々のあわれな姿に焦点をあてます。

I. 制御されない思考 → アジヤから来たユダヤ人たちは、パウロが町で異邦人であるトロピモといるのを見ましたが、それだけでパウロが彼を(異邦人が入ることがゆるされない)神殿に連れて行ったと思いました。(29節) 人は根拠のない、或いは明確ではない中で想像し結論を出してしまうことがあります。 真実を知らないと私たちの考えや思いは暴走してしまいます。人生についてまことの神様抜きで考えるとしたら、信ずるところは自分であり、ならうところはこの世の中になります。「神」に心を向けることがあるとしたら、それはご利益的な依存という意味においてでしょう。思考が神様抜きであれば、神様をおそれる・認める考え方はできません。自分を造り生かしておられる神様の前に謙ることはなく、「お蔭様」が誰であるのか不明であり、まことの神様ではない何か/誰かということになります。自分にとって一番恐れる/気にする存在は人ということになります。結果的には自分の認識(知っていること)と「世論」(人々がどう考えるか)ということが道徳や判断の基準となっていきます。

II. 制御されない発言 →パウロに反対する人々は自分たちの考えに基づいて(事実ではないことを)叫んだり主張したりしました。(27-28節、34節)そして彼が罰せられることを求めたのです。(36節)思考が制御不能になると、私たちは神様抜きで考えたこと、神様をおそれないで考えたことを口走ります。それは周囲の人々にもダメージを与えるものとなります。昨今のネット上での発言・発信が多くの人々を傷つけ苦しめているのはその一例と言えます。

III. 制御されない行動 →パウロを取り巻く人々は騒ぎ、殺意をもってパウロに向かい危害を加えました。(27節、30-32節、35節)彼らは神様抜きで考えたこと、神様をおそれないで考えたことに基づいて行動に出たのです。私たちは制御されないと、思うこと、話すことにとどまらず、行動において取り返しのつかないことをしでかしてしまう可能性と危険性を抱えているのです。

まとめ:真実に対する無知は人を混乱させ、永遠の滅びへと導く →現代は、大切なことが何であるかがぼやけ、またぼかされている時代なのかもしれません。真実が何であるのかわからず混乱しているという認識すらないのかもしれません。聖書が示す真実、まことの神様がおられるという真実についての認識がないところには秩序は存在しません。人々の思考・発言・行動にはブレーキがかからなくなるのです。(理性が働くとしたら神様のあわれみです)絶対的な主権者であられる神様を知ること/認めることは、人を混乱状態から解放します。神様によって、真の基準によってコントロールされる祝福を経験できます。クリスチャンはその幸いをいただいているのですから、真実を知る者として相応しく、みことばと聖霊によってコントロールされ、確信をもって日々歩ませていただきましょう。

 

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