主イエス・キリスト様の教会建設に関する言及はご自身の十字架前の宣言であり、予言でもありました。(マタイ16:18) 使徒の働き2:1-4には教会の誕生の瞬間について記されています。現場に居合わせ、(聖霊降臨の)衝撃的な模様を確認した人々の大部分はイスラエル人とユダヤ教に改宗した人々でした。この後 使徒たちを中心として伝道が進められていきますが、当初は基本的にその対象がイスラエル人に限られていました。それ故、当然教会形成はイスラエル人(のみ)を中心として行われていったのです。
イエス様による宣教拡大の宣言(使徒の働き1:8)は、8章のピリポによるサマリヤ伝道によって具体化していきます。一方、3章の段階におけるペテロは尚イスラエル人だけを対象とした伝道を行っています。(19-21節) そのペテロも10章では異邦人への伝道に一歩を踏み出していきます。そしてその後 異邦人への伝道が盛んになっていきます。後に回心したパウロによってもその動きが活発化しますが、それと同時に今度はユダヤ人(イスラエル人)による反対・迫害も発生してきます。
この過渡期においてステパノは議会を前にして力強く説教しました。その説教の最後に彼はイスラエル人たちを「聖霊に逆らっている」(7:51)と痛烈に責めました。イスラエル人たちは無知の故にイエス様を十字架につけたとはいえ、それ以降悔い改めの機会を与えられながら尚 心頑なにしていることについて指摘されたのです。
ペテロが異邦人伝道に進むことができたのは、聖霊の導きによります。(10:19) その行動に対して非難されることにもなりましたが、結局のところ一定の理解を得られることになります。(11:2,18)
これらの初期段階を経て、イスラエル人のみならず、異邦人をも含めた教会は建てあげられていきました。しかしそれはいつの時代にあってもわずかな忠実な者たちによってでありました。私たちも今の時代において教会を形成する一人ひとりとしてその祝福と責任を再確認いたしましょう。