6月18日 無事でも有事でも

カイザリヤにおける約二年の投獄の後、パウロはいよいよローマへと送られることになりました。ユリアスという百人隊長の管理の下で彼の長い船旅が始まります。この旅にはルカとアリスタルコが同行しました。パウロはローマの市民権を持っていることもあってか、途上で友人たちとの接触もゆるされました。船旅は風に左右されます。地中海の船旅は風に悩ませられるのみならず危険を伴うものでもありました。パウロはクレテ島の「良い港」に留まることを提案しますが、他の大多数の人々の意見により同じ島のピニクスまで行くこととなりました。今回のパウロのローマへの旅の記事から、どのような場合においても必要となる私たちの信仰の姿勢について考えたいと思います。

I. 主権者であられるお方を見上げる ①神様のご支配を覚える:私たちの目の前で起こる様々な出来事の多くは私たちにはコントロールできないものです。そしてその多くは私たちが望まないものです。しかし、その場合においても神様の主権があり、神様の計画、導き、助け、護りがあることを覚える必要があります。逆境の時に神様に心を向けることは大切ですが、順風の時にも神様の憐れみ深さを認めることが大切です。一つ一つの場面で私たちの周囲に存在する人々や状況・環境はすべて神様の主権の下で配置され備えられたものです。私たちがそれらを充分に理解できないとしても、一人一人、そして一つ一つの事がらには神様の計画と目的とがあるのです。
②みことばの約束を覚える:私たちが神様のことを考える一つの方法は神様のことばを思い出すことです。パウロがローマへ行くことは、彼自身の願いであった以上に神様のご計画でした。(23:11)神様はすべての場面において私たちにご計画を明確なかたちで教えてくださるわけではありませんが、すでに与えられている多くの約束をみことばの中で見つけることができます。イエス様によって罪がゆるされ救われた私たちの国籍は天にあること、私たちの究極の行き先は天の御国であり、そこにおいて神様の永遠の加護があること、また地上の歩みにおいて神様が常に共におられること、神様は常に御心を実行されること、最善(最良)を果たされること、聖霊が歩みをリードされることなど。これらの神様のみことばを知っているだけでなく信じている(頼っている)ことが大切です。

II. 自分の務めを果たす →主権者であられる神様を見上げること、頼ることは、私たちの歩みが受身的であっていいということを意味しません。パウロは置かれた状況の中で、ただ成り行きにまかせてボーっとしていたわけではありませんでした。
①状況・人を見て考える:パウロのように私たちも一つ一つの場面で自分に与えられた役割を考える必要があります。主権者であられる神様が自分に求めておられる果たすべき責任は何であるのかを考えるのです。そしてその状況において周囲の人々に対して何が助けとなるのかを考えるのです。それは人々への、そして神様への奉仕の心を持つということです。
②時宜にかなう言動をする:パウロの船旅における提案は彼の「危機管理能力」というものをうかがわせます。彼は一人の囚人のままではいませんでした。神様からの知恵と経験からタイムリーな助言をしました。(結果的には受け入れられませんでしたが)私たちも、(特に危機的な状況において)周囲の状況や人を見る余裕、そして神様が自分に何を望んでおられるのかを考える冷静さを神様からいただく必要があります。信仰者は信じて何もしないのではなく、必要とあらば行動するのです。

まとめ:無事でも有事でも主におすがりしましょう →「われはおさなご」という聖歌の意味を考えてみましょう。私たちは、問題・課題がある時に信仰が試されるのですが、実は何も問題のない時にも試されているのです。何でもないと思う時、何でもないと思う事がらにおいて、私たちがどのような信仰の歩み(姿勢)をしているかが問われているのです。すべてを支配される神様を見上げ続ける人は、それが大変だと思われる状況であっても、正しい対応・判断ができ、神様の前にベストを尽くし、人の幸せを願うことができます。神様の前において常に自分は“おさなご”であるという謙虚さを持ち、主イエス様を信じて、おすがりして歩む人は、状況に関係なく神様に喜ばれる歩みをしていくことができるでしょう。

 

 

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