1月10日 最も違法な裁判

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法廷での裁判において判決が言い渡された後、判決内容が書かれた、手持幡(てもちばた)と呼ばれる巻物を掲げて走ってくる人がいます。その巻物には、「全面勝訴」とか「不当判決」などの表記がなされています。この表記については、何種類か用意され、判決の言い渡しを聞いて、その場でどの巻物(幡)を出すのかを原告弁護団の主任弁護士が指示することが多いようです。
さて逮捕されたイエス様の裁判は裁判と呼ぶことができるようなものではありませんでした。なぜなら、初めから「死刑ありき」だったからです。今回はイエス様に対する裁判がいかに不当なものであったかを学びたいと思います。(ヨハネの福音書18章12~14、19~24節)

I. 逮捕された主は 縛られた(12、24節)
(ユダヤの最高議会=サンヘドリンから派遣されたであろう)ユダヤ側の役人たちとローマ側の兵隊たちは、イエス様を捕まえ縛り上げてアンナスのところにまず連れて行きました。この後大祭司カヤパ(アンナスの義理の息子)のところに連れていかれる時もイエス様は終始縛られた状態でした。神の御子であられるイエス様は、最初から犯罪者としての扱いを受けられたのです。

II. 逮捕悟された主は 尋問された(13~14、19~21節)
アンナスはイエス様に二つのことについて尋問しました。これはイエス様の動きが、モーセの律法とローマ政府に対する脅威であるとの受け止め方をしている証拠です。弟子について問いただすのは、政府の転覆を画策しているのであれば、人数や活動について知ることが重要となるからです。また、教えについて問いただすのは、その中に革命的な要素が含まれていないかを調べるためです。また、彼らにとって、イエス様の“神の御子である”という主張(19:7)は懸念材料であったことは言うまでもありません。しかし、ユダヤの正式な審問において、被告人に質問すること自体が違法なのです。なぜなら、このような審問においては、証言者の証言に重点が置かれるためです。アンナスはこの審問は非公式のものであるため、規定は適用されないとの認識であったのかもしれませんが、イエス様はこの点をご存知で証言者を要求しておられます。(20-21節)イエス様にとって隠すものはなにもないため、第三者の証言が、普通であれば決定打となるはずです。

III. 逮捕された主は 暴力を受けた(22~23節)
イエス様の、証言者を求める発言は、決して大祭司に対して無礼なものではありませんでしたが、そばにいた役人は、イエス様の的を得た求めにいら立ったのか、イエス様に平手打ちをしました。イエス様には、判決が言い渡されておらず、死刑の宣告も受けていない中でこのような取り扱いをすることは違法です。イエス様は真実をお語りになったに過ぎませんが、それゆえに暴力を受けました。イエス様は公平な裁判を求められたのです。しかし彼らはすでに判決が出たものとして取り扱っているため、証拠を提供しようとすることはなかったのです。

まとめ: イエス様は、私たちの救いの成就のために、違法な裁判を受けられた
イエス様は何ものにも縛られるお方ではありません。イエス様は絶対的なお方で権威をもっておられます。イエス様は全能であられ、すべてに対して権限をもっておられます。イエス様は必要なことをすべて明らかにされます。ご自分が誰であるかを明確にされますし、語られることはすべて真実です。イエス様は賛美と栄光にふさわしいお方です。あがめられ仕えられるべきお方です。人からの忠告・教え・叱責を必要とはされません。しかし、イエス様は私たちの救いのために「違法行為」を甘んじてお受けになられました。私たちのために、縛りあげられ、問い詰められ、痛みと辱めを受けられました。全能なるお方が制限を受け、聖いお方が蔑まれ、創造主であられるお方が被造物からの暴力を受けられたのです。それは父なる神様への従順ゆえです。そしてそれは私たちのゆるしと(永遠の)いのちの実現のためです。罪と無関係のお方が罪とせられ、罪ある者が義と認められたのです。私たちは、この事実に驚くことをやめてはなりません。

 

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