愛のみわざ VS. 罪の策略

降水の別れ道となる場所を分水嶺、または分水界と言います。日本にあてはめるならば、日本海側に流れるか、太平洋側に流れるかの起点になる場所です。どちらに流れるかによってその終着点は決まります。

ラザロをよみがえらせられたイエス様を、信じるか信じないかは、まさに永遠の行く末を決する分水嶺と言えます。イエス様の教えとみわざは、しばしば人々を分断しました。今回の箇所(ヨハネの福音書11章45~57節)でも、ある人はイエス様を受け入れ、ある人は拒絶しました。イエス様を信じない人々(この箇所ではパリサイ人)にとって、イエス様の行ったことは見過ごすことができない問題となりました。

祭司長とパリサイ人たちは議会を招集しましたが、イエス様がしておられることに対して、効果的な対応ができないでいました。イエス様のことでユダヤ社会に騒動が起きれば、ローマが動いてしまう。ローマが動くならば様々なものが奪い去られてしまうと恐れました。議会のメンバーである彼らの一番の心配は、自分たちの立場が危うくなることです。表面的にはユダヤ民族のことを心配しているようですが本音はそこにあります。

そのような中で大祭司のカヤパが発言しました。彼は、自分はどうこの局面を乗り切るか知っているといわんばかりに主張します。イエス様が処刑されることで、自分たちの立場と国をローマから守ることができると。正義よりも保身を優先させました。

しかし彼は、無意識に、犠牲と身代わりを意味することばを使い、罪人のために死ぬイエス様について預言したのです。彼が意図して発言したことの上に、主権者であられるお方のメッセージがあったのです。イエス様の死は、ユダヤ人のみならず(イザヤ43:5; エゼキエル34:12)、すべての人々のためです。一つに集められるのはユダヤ人だけでなく、宣教の拡大によって、クリスチャンとなり、神の子とされる人々もです。イエス様の犠牲的死と復活の結果、ユダヤ人と異邦人は一つの集団である教会となったのです。(ヨハネ10:16; エペソ2:14-18)カヤパの発言は、神の御子であられるイエス様に対する冒瀆ですが、それをイエス様は(ある意味)もじって真実とされました。彼が意図した邪悪な発言についての責任は問われるわけですが、神様の摂理は(彼がどのことばを使うかについて)彼を導き、神の栄えある救いのご計画について表現させたのです。元々大祭司は神様の御心を示す存在です。カヤパはこの時の大祭司として、このようなかたちで預言の働きに用いられたのです。

カヤパの発言により、議会のイエス様に対する方向性は定まりました。イエス様は、“時”が来るまでエルサレムを離れられました。ユダヤ人の過ぎ越しの祭りが近づく中、人々の関心はイエス様が祭りに来られるかどうかでした。祭司長やパリサイ人たちのイエス様に対する策略は広く知られていたのでしょう。

I. 信じない者  

イエス様を信じない人は、イエス様を神とは認めません。ですから、イエス様の十字架の死は(何らかの)罪の結果を受ける、人の死でしかありません。自分との個人的な関係をそこに見出すことはないのです。

このような理解を踏まえ、イエス様を信じない人はイエス様に対して邪悪な意図を持ち反抗します。イエス様を自分の生活から追い出し、自己実現をしようとします。それが罪人の策略です。自分の救い主を追い出すわけですから、不幸を招くことになります。聖書によれば、イエス様を信じ受け入れなければ滅びに向かうほかありません。

II. 信じる者  

イエス様を信じる人は、イエス様を神と認め、救い主として受け入れます。唯一礼拝されるお方として認識します。またこのお方の十字架の死は、自身の罪ゆえの身代わりの死であると認識します。イエス様が罪の問題の解決のために、救いの方法を準備されたことを理解します。

このような理解を踏まえ、イエス様を個人的に信じ受け入れ、イエス様に従います。イエス様によってなされた神様のみわざ(十字架の死と復活)は、自分に対する愛ゆえであることを知り神様に感謝と賛美をささげます。信じる人は祝福を受けます。本当の意味で生かされ(活かされ)永遠の幸いが保障されます。

まとめ:愛の神様の救いのご計画は、罪人の策略を超越して実現された

真実は立ち続けます。そして神様の恵みによる救いのご計画は輝き続けます。人の罪がいかに醜く、暗く、ちから強くても、神様の恵みはそれを圧倒するのです。(ローマ5章) 神様の愛による救いのご計画は、敵対する者たちの罪深さを飲み込んで達成されました。そのご計画の効果を直接的に、また具体的に受けた信仰者は幸いです。神様はなおも、このご計画を人々に示しておられ、招いておられます。なお恵みの時が延ばされ、救いに入る猶予が与えられ、警告がされていることは、神様の深い憐みによります。先に救っていただいた私たちは、今できるかたちで神様の救いのご計画を人々に紹介していきましょう。

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