7月28日 神のパン

古代ギリシャの哲学者ソクラテスは“生きるために食べよ、食べるために生きるな”と言いました。しかし日本において現在、「食べるために生きている、働いている」という人は少なくありません。日本のこどもの七人に一人は貧困を抱えている現状があります。毎日の食は確かに大切ですし、命にかかわることです。お腹いっぱい食べられること、経済的に余裕があることは大事です。しかし、物質が満たされることが本当の豊かさや幸福を意味するのではないことを今回の箇所は教えてくれます。(ヨハネの福音書6章22~33節)今回の箇所の最後の節に「神のパン」という表現があります。神のパンとはどのようなもので、誰から与えられ、どのようにして手にすることができるものなのでしょうか。

使徒ヨハネは、イエス・キリスト様が単に奇蹟を行なう人(ミラクルワーカー)ではなく、罪人を救う神の御子であることをこの福音書で示しています。人々はイエス様の後を追ってカペナウムに来ました。イエス様はそこにあるシナゴグ(ユダヤ人の会堂)でお語りになりました。イエス様は、ご自分について来る彼らの動機が誤った理解からのものであることをご存知でした。イエス様の弟子たちでさえ、先の“5千人の給食”の奇蹟(しるし)が示していることを悟らず、その心は閉じたままだったのです。

I. それは永遠のいのちに至る糧
イエス様は、神のパンが何であるかをお教えになりました。それは先ず、朽ちてしまわない、なくならないものです。(27節)人は目の前の一時的な満たしを求め、すぐになくなってしまう「パン」を求めます。(26節)神のパンはいつまでも持続するものです。イエス様は生活のために働くことを止めるように仰っているのではありません。しかし、それ以上に大事なもの、永遠に残り、保たれ、永遠にわたるいのちをもたらす効果を持っている糧を求めるようにと仰っているのです。
また神のパンは、父なる神様が与える天からのまことのパンです。(32節)かつてモーセは、荒野で民たちに(神様のちからによって)マナを食べさせました。しかしそれは民たちを霊的に保つことができる糧ではなかったのです。
そして神のパンは、天からのもので、この世にいのちを与えるものです。(33節)それは人に、人として相応しく生きるちからを与え、また永遠にわたる幸いな生活を与えるものです。

II. それはイエス様が与えるもの
神のパンは、イエス様から与えられるものです。(27節)イエス様は、罪のある人間を救うに相応しいお方です。罪、汚れのまったくないお方として神様に認められたのです。昔、いけにえとなる動物は調査を受け、完全であることの印を受けなければなりませんでした。そのようにイエス様は、罪人の身代わりに死ぬことができる完全ないけにえとして、父なる神様からの認証を受け、朽ちることのない本当の糧を提供することができるお方なのです。
またイエス様は、神のパンをお与えになられるお方であられると同時に、神のパン、いのちのパンそのものでもあられるのです。(35節)

III. それは神のわざを行うことによって与えられるもの
神のパンは、イエス様を信ずることによって与えられます。それが「神のわざ」です。(29節)それが、神様が人に(救われるために)お求めになっておられる働きです。当時の人々もそうであったように、人は永遠のいのち(幸福)を得るために、神様が何かをすることを要求しておられると思い、またそれを実行することができると思うのです。しかし、神のパンは、人の努力や行いではなく、神様がなしてくださったみわざを信じて受けることによって与えられるのです。

まとめ:永遠のいのちに至る神のパンは、イエス様を信ずることによって与えられる
冒頭に紹介したソクラテスは“永遠に続くものなどない、変化を受け入れよう”とも言いました。世の中のものは確かに変わっていきます。そしてそこには変化に伴う悲しみや痛みも存在します。しかし「神のパン」は変わることのない、永続する豊かさを提供します。イエス様を信ずる者に永遠のいのちを提供します。なくならない、つかのまではない、「神のパン」を、イエス様を信ずることによって手にした人は、本当の意味で人間らしく生きることができるようになるのです。

 

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